パニック障害

突然理由もなく、動悸やめまい、発汗、窒息感、吐き気、手足の震えといった発作(パニック発作)を起こし、そのために生活に支障が出ている状態をパニック障害といいます。
このパニック発作は、死んでしまうのではないかと思うほど強くて、自分ではコントロールできないと感じます。そのため、また発作が起きたらどうしようかと不安になり、発作が起きやすい場所や状況を避けるようになります。とくに、電車やエレベーターの中など閉じられた空間では「逃げられない」と感じて、外出ができなくなってしまうことがあります。

パニック障害は、パニック発作から始まります。はじめはパニック発作だけですが、発作をくりかえすうちに、発作のない時に予期不安や広場恐怖といった症状が現れるようになります。また、うつ症状をともなうこともあります。

パニック発作

予期されないパニック発作を繰り返していますか 繰り返される「予期しないパニック発作」は、パニック障害の特徴的な症状です。「予期しない発作」とは、状況などに関係なく起きる発作のことをいいます。したがって、寝ている時に発作が起きることもあります。

パニック発作はパニック障害でなくてもみられます。たとえば閉所恐怖症の人が狭い場所に閉じこめられたりした時にはパニック発作を起こすことがあります。ただしこれは特定の状況に直面した時に起きる反応で、パニック障害でみられる「予期しない発作」ではありません。

予期不安

「また発作が起きるのではないか」という不安をいつも感じていますか パニック発作をくりかえすうちに、発作のない時も次の発作を恐れるようになります。「また起きるのではないか」「次はもっと激しい発作ではないか」「今度こそ死んでしまうのでは」「次に発作が起きたら気がおかしくなってしまう」といった不安が消えなくなります。これが「予期不安」で、パニック障害に多くみられる症状です。
このほかにも、いつ発作が起こるかという不安のあまり、仕事を辞めるなどの行動の変化が起きるようになるのもパニック障害の症状のひとつです。

広場恐怖

そこに行くと発作が起きそうな気がする、苦手な場所はありますか 発作が起きた時、そこから逃れられないのではないか、助けが得られないのではないか、恥をかくのではないか、と思える苦手な場所ができて、その場所や状況を避けるようになります。これを「広場恐怖」といいます。苦手な場所は広場とは限りません。一人での外出、電車に乗る、美容院にいくなど、人によって恐怖を感じる場所は様々です。広場恐怖以外に、外出恐怖、空間恐怖ということもあります。
広場恐怖が強くなると仕事や日常生活ができなくなり、また引きこもりがちになるので友達との人間関係にも影響が出てきます。一人で外出できなくなるので、人に頼っている自分自身を情けなく思う気持ちも強まっていきます。広場恐怖をともなわないパニック障害もありますが、多くの場合広場恐怖がみられます。

パニック障害では、薬物治療に加えて精神療法の併用が重要です。とくに、曝露療法や認知行動療法という治療法は、薬による治療と同じくらいパニック障害に治療効果があることが認められています。
薬が効き始めて発作が起こらなくなってきたら、苦手だった外出などに少しずつ挑戦することも治療の一環になります。